うつ病やメンタル不調によって自宅で休職している方は、「休養しているだけでいいのだろうか」「本当に復職できるだろうか」と悩むことがあるかもしれません。
前回は、復職を目指す上で重要な点として、9つのチェックポイントについてみていきました。今回は、これら9つのチェックポイントを押さえる方法のひとつとして、リワーク施設を活用するメリットについて詳しくご紹介します。
公開日:2020.11.13 最終更新日:2021.01.12
うつ病やメンタル不調によって自宅で休職している方は、「休養しているだけでいいのだろうか」「本当に復職できるだろうか」と悩むことがあるかもしれません。
前回は、復職を目指す上で重要な点として、9つのチェックポイントについてみていきました。今回は、これら9つのチェックポイントを押さえる方法のひとつとして、リワーク施設を活用するメリットについて詳しくご紹介します。
復職にあたり、前回紹介した9つのチェックポイントの全てを満たさなければならないと考えると、それだけで気が重くなってしまう方も多いかもしれません。
また、復職を目指す上では各種のトレーニング(取り組み)の他に、通院や会社との連絡も行う必要があります。心身の不調を抱えている中で、これら全てを自身一人でスケジュール管理しながら進めていくのは困難といえます。「あれもこれも」という状態では心身の負担が和らぐことはなく、健全な復職や継続した就労は遠のくことになります。
こうした問題を解決するための方法のひとつが、復職や再就職を支援するリワーク施設の活用です。
休職の原因を解決するためには、自身の生活リズムを整えるだけでなく、会社との調整や、配慮の依頼が必要な場合があります。とはいえ、人事や上司に自分一人で交渉することに心理的な負担がかかるケースも少なくありません。
「しばらく離れていた職場に連絡することに気後れを感じる」
「職場に部署異動をお願いしたいが、休職で迷惑をかけていると思うと引け目を感じて言い出せない」
「休職原因は上司のパワハラだったのに、復職の対応窓口も当該上司で連絡するのが怖い」
「会社側の担当者がメンタルの不調に理解がないため、職場環境の調整に応じてくれない」
「自分の主張を聞き入れてもらえず、企業側を説得することが難しい」
このような場合、リワーク施設を活用することで、担当のスタッフが企業との間に入り、調整や交渉などを行うことが可能です。
実は、企業側も復職の受け入れ経験が少ない場合は、不安を感じていることがあります。企業側が「本当に週5日、休まずに働けるか」「前の部署に戻しても問題ないか」「再休職する可能性はあるか」といった不安や疑問を抱いている場合、リワーク施設のスタッフはそれらの不安や疑問の解消にあたることが可能です。
たとえば、「遅刻や欠席をせずに通所ができている」「○○といった作業ができる状態である」「生活リズムは乱れていない」といった事実に基づいたデータをスタッフが企業に共有することで、復職に問題ない旨を理解いただき、復職後の勤務条件などを調整いただくことも可能です。
また、職場の復職のためだけでなく、休職期間を延長する必要がある場合もスタッフが企業側との間に入り、交渉や調整を行います。休職の延長が必要なケースとは、そもそもの休職期間が残りわずかな状態でリワーク施設に通い始めた場合や、上述した9つのポイントをクリアできておらず復職するのが時期尚早だとみなされている場合などです。
焦って復職することは、デメリットが多いものです。リワーク施設のスタッフと共に、しっかりと復職の準備を整えてから復職をすることが結果としては一番の近道となります。
もしも一人で「週5日、定時に同じ場所へ通える」という状態を目指すのであれば、まず何をするでしょうか。この場合に多いのが、「決まった時間に図書館へ通う」というものです。
こうした“セルフリワーク”には、欠席を報告する必要もなければ遅刻をしたペナルティもありません。それゆえ、職場復帰の訓練としては心理的負担が軽い状況といえます。
復職を成功させるためには、「復職後も再休職することなく、心身ともに健康状態を保ちつつ安定して働き続けられること」を目指す必要があります。そのためには、休職中でも職場への通勤と同等の負荷がかかる環境に身を置くことが大切です。そうした役割を果たすのが、リワーク施設なのです。
リワーク施設の多くはビルの一室などにあり、オフィスに近い環境となっています。そのため、電車などの交通機関を利用して通うことで通勤のシミュレーションにもなります。また、遅刻や欠席をする場合はスタッフに連絡や相談をする必要があるため、会社との連絡の訓練にもなります。
一人で休職期間を過ごしていると、「通勤できる体力がある」「復職すれば自然と定時に出社できるはず」と思うことがあるかもしれません。しかし、休職期間の中で気付かないうちに体力が落ちていたり生活習慣が乱れていたりする場合、いざ復職しても出勤がつらくて不調が再発してしまうということも考えられます。
実は、リワーク施設で利用者の復職希望に対してスタッフが復職許可を出せない理由として最も多いのが「週5日、定時に同じ場所へ通える状態を維持できていない」という理由です。(※施設によって異なります。)
このことからも、いかに「週5日、定時に通う」ということが重要であるかが分かります。リワーク施設を利用するメリットは、まさにこの点にあります。毎日通うことが重要で、それでいて難しいことであるからこそ、スタッフとともに訓練に取り組むことが復職への大きなプラスになります。
リワーク施設では、遅刻や欠席の頻度、復職訓練プログラムへの参加率を基にした訓練記録を重視します。この記録を基に、「週5日、定時に同じ場所へ通える状態か」が判断されます。記録があることで企業への情報提供も容易になり、企業にとって「この状態ならば復職を受け入れられる」という安心材料にもなります。
自分一人で復職準備を進めるセルフリワークの場合、他者とコミュニケーションを図るのは非常に困難です。友人や知人とコミュニケーションをとることは可能ですが、どこか緊張感に欠け、訓練としては物足りないといえるでしょう。この点、リワーク施設であればスタッフはもちろん、他の利用者の方々もいるため、適切なコミュニケーションの機会となります。プログラムの中にはグループで行うものもあり、職場復帰後に近い環境で他者と話す感覚を取り戻すことができます。
また、コミュニケーションの訓練の機会としてだけでなく、同じような症状・悩みや、復職というゴールを目指す方々と関われる機会が得られることもまた、リワーク施設を利用することで得られる大きなメリットです。休職中に感じる孤独や不安など誰かに聞いてもらうことで落ち着いたり、共感してもらえることで自分だけではないという安心感につながったりすることもあります。
リワーク施設の中には対人スキルを高めるプログラムやアンガーマネージメント、認知行動療法に基づくプログラム等を実施している施設もあるので、「コミュニケーション能力に自信がない」「感情を抑えるのが苦手で対人トラブルにつながりやすい」「他人の言葉をネガティブに感じてしまいがち」といった悩みがある方にとっては、学びの多い機会になるといえます。
リワーク施設での復職活動と、自身一人での復職活動の大きな違いは、担当スタッフによる支援の有無です。「遅刻してしまった」「朝起きられなかった」というときもスタッフに相談して適切なサポートを受けることで、「遅刻や寝坊を繰り返さないために今から何ができるか」という方向に発想を転換させることができます。
こうした「問題や課題の発見→解決策の提案→解決」というプロセスを経ることができるのが、リワーク施設に通う大きなメリットのひとつです。
リワーク施設といえばプログラムに焦点が当てられることも少なくありませんが、スタッフや支援員との関わりもまた、施設を利用する大きなメリットです。施設選びの際には、プログラムの内容だけでなく、スタッフ・支援員とのコミュニケーションを通じて、休職期間を実りのあるものにできるかを判断するとよいでしょう。
しばらく離れていた職場に戻るのは、精神的にも身体的にも負担がかかるものです。復職における負担を少しでも軽減し、職場復帰後も安定して働ける状態を整えることが、復職を成功させるポイントです。そのためにやるべきことはたくさんありますが、これまでにみてきたように、リワーク施設に通うことで目標への大きな一歩となります。
リワーク施設の「ニューロリワーク」では、休職中の方、もしくはこれから休職をお考えの方に向けた見学を承っています。ご興味のある方はぜひご検討ください。見学や体験実習を通じて疑問点や不安点をなくし、復職後に安定して働き続けられることを心より願っております。
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【関連動画】
■ニューロチャンネル
「うつ病からの復職|成功させるためにやってほしいたった1つのこと」
https://www.youtube.com/watch?v=EAC-HBev-us
YouTubeチャンネル「ニューロチャンネル」にて、ニューロリワーク施設長が“復職を成功させるために取り組むこと”についてご紹介しています。これからリワーク施設の利用を考えている方はぜひご覧ください。
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【note公式ページ】
《注目記事》『精神疾患者数400万人時代の到来
リワーク支援施設「ニューロリワーク」がこの社会でできること』
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※ニューロリワークでご提供するプログラムは、事業所や季節・時期によって異なります。
事業所ごとのプログラムは各センターの紹介ページにて掲載させていただいております。
ご興味のある方は以下のリンクよりご確認ください。
プログラム表はコチラ↓
■ニューロリワーク三軒茶屋センター
三軒茶屋センタープログラム表
■ニューロリワーク梅田センター
梅田センタープログラム表
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