休職がどのように人事評価や昇進に影響を与えるか
休職の影響の有無は、企業による
上述したように、休職によって昇進・昇格に影響するかどうかは企業次第です。たとえば、売上や生産性などの数値が評価対象の大半を占める「数字が全て」という文化の企業であれば、休職期間を経ても復職後に高い業績をあげることで将来の昇進・昇格は十分に可能であるといえます。
これに対して、遅刻や早退、欠勤などの健康面を重視する企業であれば、休職がマイナスの評価になることも考えられます。
現在、インターネット上のサイトや各種のSNSでは休職と昇進に関するさまざまな体験談を目にすることができます。たとえば、「休職しても全くマイナス評価にならなかった」という体験談や、「休職後、同期が昇進する中で自分だけが昇進しなかったので会社に理由を聞くと、休職が原因だとはっきりと言われた」といった体験談などです。これらはひとつの意見や事例としては参考になりますが、それぞれの企業に限定される話であるため、一概に「これが正解」とはなりません。
休職の期間や理由によっても評価は異なる
同じ企業であっても、3ヶ月間の休職と1年間の休職では、評価が異なるというのが一般的です。1年間の休職では、組織再編や異動、新入・中途社員の入社なども重なり、休職期間中に担当業務の割り振りが大きく異なることもあります。
また、休職の理由によっても評価が異なります。たとえば、事故によるケガなどで休職した場合は「再発のおそれがない」と判断され、昇進に影響が少ないと考えられます。これに対して、うつ病などの精神疾患によって休職した場合は、再発のおそれから、昇進に影響することも考えられます。他にも、「昇進によって部下を抱え、業務範囲も広くなることで再び心身に大きな負荷がかかるかもしれない」という配慮から、昇進させないというケースも考えられます。
「休職が評価や昇進に不利」=「休職しない」は危険
企業によっては休職がその後の評価や昇進に不利になるケースもありますが、だからといって「休職すれば評価が下がるので無理をしてでも働こう」と考えるのは危険です。心身の不調が改善されないまま業務を続けても高い成果は見込めず、いずれにせよ昇進は困難といえるでしょう。業務を続けても評価されることが難しいのであれば、休職期間を設けて心身の健康状態を回復させ、復職後に高いパフォーマンスを発揮するほうが堅実的かもしれません。
休職のデメリットとメリットを考える
休職によって評価が下がることを前提としても、その他のデメリットにも目を向けておくことが大切です。他のデメリットとして挙げられるのは、収入の減少です。休職制度は法律によって定められたものではなく、各企業が自社の判断で独自に設けています。そのため、企業によっては休職期間中に一定額の給与が支払われるというケースもあれば、全く支払われないというケースもあります。休職の際には、どの程度の収入の減少があるかを把握しておくことが大切です。なお、一定の条件を満たすことで傷病手当金を受け取れる場合もあります。金額は月収の6割程度とされていますが、個別に確認が必要です。
休職のメリットとしては、自分の時間が増えることで趣味や休養の時間を確保できるという点が挙げられます。また、休職の原因となった仕事や上司、先輩や同僚などから距離を置くことができます。休職によるデメリットと比較すると小さなメリットと感じるかもしれませんが、心身の不調を患いながら職務を続けることの負担の大きさは、あたらめて重く受け止めておく必要があります。復職後に再び休職となれば、評価に与える影響はさらに大きなものとなります。
評価制度を変えるよりも、自分を変えるほうが効率的な場合もある
もしも休職が人事評価に悪影響を与えるのであれば、どうすればよいのでしょうか。理想はそうした評価制度や社内文化・風土を変えることですが、場合によっては会社全体の根幹から変えることが必要となり、非常に困難といえます。それゆえ、変えるべきは会社の在り方よりも、自分自身と捉えるほうが容易かもしれません。
上述したように、休職の事実が“一時的”に不利に働くことはあるかもしれません。しかし、復職後に多くの業績・成果を上げることで評価を高められる可能性もあります。もしも復職後にどのような成果を上げても評価されないという職場であれば、転職によってあらたな職場を見つけるほうが良い選択といえるかもしれません。
昨今の労働市場において、全ての企業が労働者にとって快適な労働環境を提供できているというわけではありません。たとえば、平日は毎日9時~22時、土日や祝日も仕事に時間を取られるという職場も少なからずあります。こうした環境であれば、仕事と私生活の両立は困難であり、家庭を持つ場合はなおさら難しいといえるでしょう。
会社の評価制度を変えられず、転職という選択肢もなく、それでいて業務の継続が難しいのであれば、思い切って休職期間を設け、心身を万全な状態にしてから復職するというのが最も現実的かつ効果的な選択肢といえます。
休職期間中はどう過ごせばいい?
理想は、復職のための施設に通うこと
休職期間は、「職場に行かないだけの期間」ではありません。休職期間中をどのように過ごすかこそが、復職の時期や復職後のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
復職のためのプログラムは一般的にリワークプログラムとも呼ばれ、医療機関や地方自治体、または民間企業などによって提供されています。それぞれの機関や施設に明確な優劣があるわけではなく、それぞれの特徴を活かしたプログラムが提供されています。(復職を目指すリワーク施設の見学はコチラから)
休職原因を解消できるプログラムを選ぶ
リワーク施設のひとつ「ニューロリワーク」では、リワークプログラムの一環として「段取り力を鍛える」というプログラムを提供しています。このプログラムでは、職場だけでなく私生活でも求められる段取り力を身に付けることを目的としています。
休職の原因は人によってさまざまですが、日々の膨大な業務に追われ、処理が追いつかずに心身ともに不調に至るというケースもあります。組織人・社会人にとって時間の管理は必要不可欠なビジネススキルのひとつですが、学校や家庭では教わることがあまりないため、苦手とする社会人も多いかもしれません。そのため、メンタル不調の根本的な原因を解消するためのスキルのひとつとして、身に付けておくことも大切です。
プログラムでは、座学を通じて効果的な段取り方法を学び、併せてケーススタディにて実際に段取りをおこないます。
ケーススタディでは、提示された状況・条件の中でいかに効率よく段取りを立てるかが求められます。目的や必要な手順の確認、優先順位の設定、スケジュールの把握や各段階での時間配分など、実務を想定して段取りをおこなうことで、時間管理能力や調整力を身に付けます。
こうしたケーススタディには、明確な正解があるわけではありません。これは、日々の生活や業務でも同様です。社会人であれば、学生とは異なり必ずしも正解が用意されていない状況で物事に取り組み、問題を解決し、結果を出すことが求められます。このプログラムでは、そうした不確実な環境で合理的に考え、行動できる能力を養うことを目的のひとつとしています。
まとめ
仕事や家庭、そして人生の中で、時間は与えられるものではなく、自ら作り出していくものかもしれません。物事の段取りを立て、時間の使い方を工夫すれば、心身の負担も少なく効率的に高い成果・結果をもたらすことが期待できます。
休職によってある程度のデメリットは避けられませんが、休職はマイナスをゼロに戻す期間と捉えるのではなく、マイナスをプラスに変えていく期間として捉えることが大切です。復職後はライフワークバランスのとれた生活を送れるよう、休職期間を自身の成長期間と位置づけましょう。企業からの評価は重要ですが、評価が重要であるがゆえに、まずは自身の心身の健康を実現することを優先するのが望ましいといえます。
リワーク施設のニューロリワークでは、休職期間をより充実したものにするためのプログラムを多く提供しています。見学のご案内も承っていますので、お気軽にご参加ください。リワークプログラムを通じて復職を目指し、公私ともに健やかな日々をお送りいただけることを願っております。(施設の見学申し込みはコチラから)
ニューロリワークの見学お申し込み
【note公式ページ】
《注目記事》『精神疾患者数400万人時代の到来
リワーク支援施設「ニューロリワーク」がこの社会でできること』
【YouTube注目動画】
【参考文献・参考サイト】
・出世ナビ「「壊れた職場」なぜ生まれる? 原因の7割は上司」
・DIAMOND online「あえて「二流社員」を選んだ人たちの賢明なる生き方」
・マネーポスト「出世を機に夫がうつ病に 家計を守るために取った専業主婦妻の選択」
(写真素材:PIXTA・photoAC)