メンタル不調で休職に至った場合、復職とその後の安定した就労のためにはリワークプログラムを活用することが効果的であることが、過去のさまざまなデータから分かっています。ここでは、そんなリワークの有効性について、具体的なメリットに焦点を当てて詳しくみていきます。
公開日:2022.10.07
メンタル不調で休職に至った場合、復職とその後の安定した就労のためにはリワークプログラムを活用することが効果的であることが、過去のさまざまなデータから分かっています。ここでは、そんなリワークの有効性について、具体的なメリットに焦点を当てて詳しくみていきます。
(関連記事:「休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム」)
リワークを利用するメリット1つ目は、生活習慣が整う点です。必ずしも「リワークに通わなければ生活習慣が整わない」というわけではありませんが、リワークに通所していなければ生活習慣が整いづらいため、通所している方とそうでない方とで生活習慣に顕著な違いが現れるケースが多くみられます。
リワークに通所しない場合、毎日決まった時間に予定があるわけではないため、起床・就寝時間は自分で意識して管理する必要があります。また、寝過ごしても誰かに注意されることもないため、天気が悪い日や怠けたいときなどに「今日くらいはいいか」という気持ちになりやすく、生活習慣が乱れやすい傾向があります。
これに対して、リワークに通所している場合は毎日決まった時間に決まった場所に通所する必要があり、通所しなければスタッフから連絡が入ります。そのため、自然と起床・就寝時間への意識が高まり、生活習慣が整うようになります。
リワークを利用するメリット2つ目は、職場復帰を想定したプログラムを受講できる点です。職場復帰を想定したプログラムには、仕事に必要な知識やスキルの学習だけでなく、体力や集中力などの認知機能の維持・向上を目的としたものも含まれます。
たとえば、ケガをして1ヶ月入院していた方が退院後すぐに以前と同じように仕事や家事を行うことは困難です。おそらくほとんどの方は入院前と比べて体力や気力が衰えているため、一定期間のリハビリを通じて体力や気力を回復させる必要があります。休職期間中は、仕事をしていたときと比べて療養する時間が増え、外出して身体を動かす時間は減りやすい傾向にあります。こうした状態から仕事復帰しても、すぐに週5日間働ける体力が備わっていなかったり、1日の中で8時間も集中することが難しくなります。
休職期間中は、一定期間しっかりと療養することが大切です。また、ある程度活動できるようになってもすぐに復職するのではなく、職場復帰を想定したプログラムを受講し、体力や集中力などの認知機能やその他の仕事に必要な知識やスキルを身に付けてから復職することが求められています。休職期間中、効果的なプログラムを受けることによって週5日間にわたって安定した状態で勤務することができるようになります。リワークプログラムがたとえ業務と異なる取り組みであったとしても、さまざまな活動を通じて心身の不調を回復させることで「仕事の勘」が戻り、リワークに通わない場合に比べて比較的スムーズに職場復帰が可能となります。
リワークを利用するメリット3つ目は、企業との調整を行える点です。最終的に復職の可否を判断するのは、医師や本人ではなく企業です。そのため、企業が認める基準を満たさない限りは復職は認められないという点に注意が必要です。
リワークに通所すると、スタッフから企業へリワークでの様子や復職へ向けた活動への取り組みが適時伝えられるため、比較的スムーズに復職許可が下りる傾向にあります。自分自身の口から復帰に向けた取り組みについて企業に説明することも可能ではありますが、第三者から復職へ向けた取り組みがきちんと行えていることを説明することで、企業側は安心感や納得感を得やすくなります。リワークに週5日間、問題なく通所していることや受講したプログラムと取り組む姿勢などを報告書として提出することで、復職へ向けて真摯に取り組んでいる様子が伝わります。
また、自分自身の口からは言いづらい配慮や職場環境の調整なども、必要性を感じるものについてはスタッフから会社側に伝えて調整することも可能です。ただし、就業規則を変えるような環境調整は難しいためこの点は覚えておく必要があります。
リワークを利用するメリット4つ目は、通勤訓練ができるという点です。復職を判断するにあたって、「会社への通勤が支障なく行えるか」がひとつの基準となります。一見すると簡単なようにみえる通勤ですが、休職期間が長くなるほど通勤を行うだけの体力がなかったり、週末まで安定した状態を維持したりするのが困難になることがあります。また、復職後に「日々の仕事は思ったよりも体力を消耗する」と実感される方も少なくありません。
自分だけの力で会社への通勤訓練を行うのは、精神的にも体力的にも大きな負担となります。この点、リワークへの通所を通勤に見立てて毎日同じ時間に同じ場所に通所し、少しずつ体力を取り戻していくことで、会社への通勤練習を段階的に行うことができます。こうした理由から、リワークを選ぶときにあえて距離のあるリワーク施設を選んで適度に通勤訓練が行えることを目標にする方もいます。
リワークを利用するメリット5つ目は、他の参加者・利用者とコミュニケーションをとる機会があるという点です。職場復帰後には、上司や同僚と何らかのコミュニケーションをとりながら行う業務も多くあります。
休職中、リワークに通所せず療養していた場合は、家族以外とコミュニケーションをとる機会が少なくなります。そのため、いざ職場復帰後に必要なコミュニケーションをとろうとしたときに適切な言葉が出てこなかったり、どう話をしてよいのかが分からず困惑したりするケースもあります。
リワークに通所しない場合は、自ら積極的に家族以外とコミュニケーションを取る機会を設ける必要があります。この点、リワークに通所することでグループワークやディスカッションなどを通して年齢や性別も異なる多くの方々とコミュニケーションをとることができます。
リワークを利用するメリット6つ目は、通院や服薬の管理ができるという点です。これらの管理に関しては、リワークに通っていなくてもできるケースも多くあります。もっとも、自分の症状や復職の相談が主治医にできない(または苦手な)場合には、リワークに通うことでスタッフを通して主治医に状況を伝えることが可能です。医師に正しく情報が伝わることで、それだけ復職へ向けた正しい判断が行われやすくなります。
メンタル不調で休職した際に、休職期間をどのように過ごすかは復職の観点だけでなく、復職後に安定した就労を行うという観点からも重要です。
休職期間中は自宅でゆっくりと休養し、心身の不調が戻れば復職を考えるというケースもみられますが、このようなケースでは不調の根本的な原因や解決策に目を向けることなく、それゆえ復職後に再び休職に至ってしまう場合もあります。
この点、リワークを活用することで、より効果的に休職期間を過ごすことが可能となります。たとえば、自立訓練(生活訓練)事業所のニューロリワークでは、健康に良い生活習慣を身に付けるためのブレインフィットネスプログラムをはじめ、職場復帰を想定したプログラムや、通勤訓練、服薬管理、医師や企業との調整なども行っています。限られた休職期間にて、復職や安定した就労を目指すために必要な取り組みをひとつひとつ段階を踏んで進めていくことが可能です。
事業所では随時プログラムの見学や体験実習を行っていますので、ご興味のある方はお気軽にご相談・ご参加ください。
【note公式ページ】
《注目記事》『精神疾患者数400万人時代の到来
リワーク支援施設「ニューロリワーク」がこの社会でできること』
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※ニューロリワークでご提供するプログラムは、事業所や季節・時期によって異なります。
事業所ごとのプログラムは各センターの紹介ページにて掲載させていただいております。
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■ニューロリワーク新宿御苑センター
新宿御苑センタープログラム表
■ニューロリワーク三軒茶屋センター
三軒茶屋センタープログラム表
■ニューロリワーク横浜関内センター
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■ニューロリワーク大宮センター
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■ニューロリワーク所沢センター
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■ニューロリワーク梅田センター
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