これから休職を考える方の中には、「休職中でも転職活動はできる?」「休職は転職に不利?」といった疑問を抱く方もいるかもしれません。休職中の転職がその後の人生の幸せにつながるか否かは、ケースバイケースといえます。前例に目を向けると、転職が成功したといえる事例もあればそうでない事例もあります。
今回は、休職中の転職について、その可否やメリット・デメリットについてみていきます。これらを押さえておくことで、休職後に新しい一歩を踏み出すことができます。
公開日:2020.05.18 最終更新日:2021.01.12
これから休職を考える方の中には、「休職中でも転職活動はできる?」「休職は転職に不利?」といった疑問を抱く方もいるかもしれません。休職中の転職がその後の人生の幸せにつながるか否かは、ケースバイケースといえます。前例に目を向けると、転職が成功したといえる事例もあればそうでない事例もあります。
今回は、休職中の転職について、その可否やメリット・デメリットについてみていきます。これらを押さえておくことで、休職後に新しい一歩を踏み出すことができます。
「休職中に転職活動をすることが可能であれば、ぜひとも始めたい」と考える方もいるかもしれません。
今の仕事が過重労働で、残業時間も多いという方にとっては、休職期間はまさにこれからの人生を考えるための大切な時間になります。これを機に、労働市場における自身の価値を振り返ってみることも必要です。
休職中に転職活動をおこなうことは可能ですが、休職期間とは本来、復職を前提とした休養・治療期間に位置づけられています。そのため、「不可能ではないが、推奨されるものではない」という認識を持つのが正しいといえます。
休職期間中に転職する際、必ずしも休職中である旨を伝える必要はないと考えられています。
休職期間であることを伝えると、入社後の業務の遂行に支障があると判断される可能性もあり、結果的に選考で不利に働くケースが考えられます。
また、上述のように、休職期間は復職を前提としているため、不誠実な印象を与えることも考えられます。
休職期間中の転職に関して、採用担当者に休職中であることがバレるかという不安もあるかもしれません。
この点、就職活動中であればバレる可能性は低いといえますが、入社後に源泉徴収票などの書類から休職の事実が伝わる可能性はあります。
特に、給与額が極端に少ない場合などは、入社後に伝わる可能性が高くなります。
休職中の転職活動は、「書類の作成や面接の準備に時間を費やすことができる」「採用面接のスケジュール調整が容易にできる」といった点でメリットがあるといえます。しかし同時に、「転職活動中の姿を会社関係者に見られる可能性がある」「入社後、休職の事実が知られる可能性がある」というデメリットもあります。
労働環境が劣悪な場合、転職はひとつの選択肢といえます。
たとえば、「毎日残業が24時近くまである」「月に1日しか休みがとれない」「上司が意図的に無理難題を押し付けてくる」といった環境であれば、無理に仕事を続ける必要はないかもしれません。これに対して、自身に改善の余地がある場合には転職ではなく、休職という選択肢が望ましいといえるでしょう。
たとえば、「朝起きるのが苦手」「仕事中にスマホのゲームで遊んでしまう」「上司や同僚に不必要に反発してしまう」といった場合は、転職先でも同じ失敗を繰り返してしまう可能性が考えられます。
こうした場合には、自身を変えるために休職し、生活習慣や仕事に取り組む姿勢、さらには対人関係スキルを改善してから職場に復帰するのが望ましいといえます。自身に課題や問題がある場合、転職活動で自分を良く表現するのは困難です。
この点、休職であれば自身を研鑽し、能力を向上させることができるので、不安な気持ちを払拭して再び仕事に臨むことができます。
休職期間は、自身にとってマイナスになるものではなく、プラスになるものとして考えることが大切です。主な過ごし方としては、「好きなことをして過ごす」や「問題点や課題点を解決するために時間を費やす」などです。前者は、学生時代の友人や知人と会ってリフレッシュしたり、たとえば趣味のオンラインゲームや漫画、またはスポーツ・キャンプといった休日にするような娯楽・アクティビティです。後者に関しては、休職の原因と向き合い、改善すべき点を改善するための取り組みで、主に専門家や専門機関の協力を得ておこないます。
休職期間に入っても転職か復職かで迷うのであれば、自身の体調も踏まえて相談することが大切です。
休職期間中をひとりで過ごすという方もいますが、休職期間をより有意義なものにして、円滑に復職を目指すのであれば、復職の支援に特化したリワーク施設を利用することも大切です。(関連記事:リワークとは|リワークの内容と利用のメリットを徹底解説!)
リワーク(復職)の支援をおこなっている「ニューロリワーク」では、メンタルケアのプログラムだけでなく、キャリアアップや自己研鑽のためのプログラムも提供しています。
一般的に、リワーク施設といえばメンタル面のケアに重きが置かれることも多くありますが、休職の根本的な原因をみつけ、解消するためにはより大局的な観点から自身と向き合うことも必要です。
この点、ニューロリワークでは働く理由や働く意味、目標について考えることを目的として、「働くことについて考えてみよう」というプログラムを提供しています。
このプログラムでは、ワークを通じて「定年間際のサラリーマン」「医者や病院が無い村で働く医者」「プロ野球選手」「江戸時代の農民」などの立場を想定し、それぞれの働く意味を考えます。また、自身にとっての「働きたい理由」「働く上で得たいこと」「働く上での楽しみ」を考えることで、今後の仕事への取り組み方を明確にし、復職に向けた姿勢づくりをおこないます。
さらに、プログラム内ではマズローの欲求5段階説に基づいて、組織における自身の立場やできることについて考えます。
アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローは、人を「自己実現に向かって成長する生き物」と仮定し、人が持つ欲求を5段階に分類しました。
人の欲求の根底には、「①生理的欲求」があります。この欲求は、食事や睡眠のような生きていくための基本的・本能的な欲求を指します。生理的欲求が満たされると、人の欲求は次の「②安全欲求」へと向かいます。これは、安心・安全に暮らしたいという欲求です。
安全欲求が満たされると、続いて「③社会的欲求」の段階に移ります。この段階では、家族や友人、または職場で受け入れられたい(=所属したい)と思うようになります。社会的欲求が満たされない場合には、孤独や社会的な不安を強く感じるようになり、場合によっては精神に大きな負担がかかるケースも考えられます。
社会的欲求が満たされると、「④尊厳欲求」が生まれます。たとえば、地位や名誉を求めるのがこの欲求です。単に所属するだけであった前段階とは異なり、その集団の中で他者よりも優位に立ちたいと考えるようになります。
尊厳欲求が満たされると、最後に「⑤自己実現欲求」の段階に移ります。この段階では、自らの能力や創造性を発揮させ、あるべき自分の姿を実現したいと考えるようになります。
人の一生は、常にこれらの欲求を満たすための過程にあると考えられています。人生の大半を費やすことになる仕事は、それぞれの段階の欲求と大きく関わりをもちます。そのため、休職という期間を通じて働く意味や目的を考えることもまた、非常に大切な取り組みとなります。
働く理由に、「ただひとつの正解」はありません。周囲の環境や本人の価値観・個性・立場・状態などが変われば働く意味も異なります。広い視野と柔軟な発想をもって働くことの大切さや可能性を考えていくことが、自分らしさを実現していくためには重要です。
休職中の転職には、メリットもデメリットも考えられます。
大切なのは、今の自分と、今後の自分にとって最も大切な選択肢は何かという点です。考え方や取り組み方によっては、休職後に今の職場に復帰し、そこで自らのキャリアを高めていくことが大きなプラスになります。離職すると同じ職場に戻ることは困難なため、まずは離職ではなく休職期間をおいて、それまでとは違った自分として職場に戻り、仕事で結果を出してからステップアップしていくということもキャリアプランのひとつです。
リワーク施設の「ニューロリワーク」では、働くことについて考えるプログラム以外にも、さまざまなプログラムを体験できる見学を承っております。
休職や復職に関してお悩みごとやご不明な点がありましたら、お気軽にご参加ください。リワークプログラムを通じてより良い人生を歩まれることを、心から願っております。
【note公式ページ】
《注目記事》『精神疾患者数400万人時代の到来
リワーク支援施設「ニューロリワーク」がこの社会でできること』