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就労移行支援と就労継続支援の違いは?
休職中に利用できるのはどっち?

# お役立ち

公開日:2020.05.29 最終更新日:2021.01.12

休職を考える上で耳にすることもある「就労移行支援」と「就労継続支援」。名称が似ていることから、しばしば混同されがちです。一般的に、休職の際に利用されるのは就労移行支援の施設です。

今回は、就労移行支援と就労継続支援の違いや、支援施設のプログラム内容についてご紹介します。支援サービスの詳細を知ることで、休職期間をより充実したものにできます。

目次

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違い

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違い

「就労移行支援」と「就労継続支援」は、いずれも障害のある方の就労を支援するサービスです。どちらも障害者総合支援法によって定められています。ふたつの制度の主な違いとしては、目的や対象者、工賃の発生の有無、年齢制限などが挙げられます。

就労移行支援

就労移行支援は、就職するために必要なスキルを身に付けることを目的としています。対象となるのは、一般企業への就職を希望している65歳未満の方です。求職中の方だけでなく、休職中の方が利用することもあります。基本的には、作業による工賃(報酬)は発生しません。サービスを利用できる期間は、原則として2年以内です。

就労移行支援をおこなっている施設や事業所では、入社後や復職後に必要なPCスキルやビジネススキル、コミュニケーションスキルなどを学ぶことができます。

就労継続支援

就労継続支援は、働く場を提供することを目的としています。対象となるのは、その時点で一般企業への就職が不安もしくは困難な方で、年齢制限はありません。また、サービスを利用できる期間に定めがない点も、就労移行支援との違いです。

就労継続支援には、雇用型の「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」のふたつがあります。A型では利用者と事業所との間で雇用関係が結ばれ、原則として最低賃金以上の工賃が支払われます。B型では利用者と事業所との間で雇用関係が結ばれず、生産物に対する成果報酬が支払われます。場合によっては最低賃金を下回ることもありますが、自身のペースで働くことができるという特徴があります。

休職時には、就労移行支援を利用する

休職時には、就労移行支援を利用する
上述したように、休職時に利用するのは「就労移行支援」をおこなっている施設・事業所です。多くの支援施設・事業所は求職者と休職者のいずれも利用可能ですが、復職支援に特化した(すなわち、休職者の支援に特化した)支援施設・事業所もあります。

休職を考える上で大切なのは、ただ無為に時間を過ごすのではなく、心と身体のケアのために少しでも効果的に過ごすということです。

こんな人は、ぜひリワークプログラムの活用を

業務過多などによって精神疾患をわずらって休職する場合は、通院による治療だけなく、復職のためのプログラムも効果的です。就労移行支援施設・事業所によっては、ビジネススキルだけでなく、コミュニケーションスキルや問題解決スキル、セルフケアスキルを伸ばすためのプログラムなども提供されています。

職場では、さまざまなことが負担となります。たとえば、会社(上司)とクライアントとの間に挟まれてつらい立場にいる場合や、膨大な事務作業をひとりで抱えている場合などがです。そのような状況下では、もしかするとすぐにでも休職したいと考えるかもしれません。
仕事が大きな負担となったとき、まじめな方であれば「会社やクライアントが悪い」と考えるよりも、「対応できない自分が悪い」と考え、自身を責めるケースがあります。会社やクライアントの制度や体制には変えられるものもあれば変えられないものもあるので、まずは自分が変わり、その後に変えられるものを変えていくほうが良い結果になることもあります。

もしもこれまで、毎日を可も不可もなく過ごしてきたという方であれば、休職期間はそんな毎日を大きく変える機会と捉えることで、復職後は仕事が今まで以上に楽しくなり、業務を負担なくこなせるようになるかもしれません。これまでただ呆然と過ごしていた休日も、これを機にもっと有意義に、新しい趣味に取り組みながら過ごせるというのが理想の復職といえるでしょう。

日常生活の充実は、しばしば仕事への姿勢も変化させるものです。仕事への姿勢が変われば新しい評価が得られ、新しい人間関係が築かれ、昇進・昇給を経て生活がより豊かになることも期待できます。

リワーク(復職)施設でのプログラムの一例

上述したように、就労移行支援施設・事業所ではさまざまなプログラムが提供されています。施設や事業所によってプログラムは多種多様で、それぞれの特徴が現れます。

たとえば、復職に特化したリワーク施設の「ニューロリワーク」では、復職プログラムの一環として、就労系プログラムやコミュニケーションプログラム、自己管理プログラム、さらには脳と身体の健康を維持するためのブレインフィットネスプログラムなどを提供しています。他にも、タイムマネジメントやポジティブリフレクションなどを学ぶ「自己管理プログラム」など、さまざまなプログラムがあります。

コミュニケーションプログラムでは、その一環として、感情を制御するために大切な「EQ」についても学びます。
EQとは、「感情を制御・利用できる能力」を指します。近年では多くの企業や団体でも注目されている能力です。

プログラムを通じてEQを高める

感情制御の得手不得手は、自身のストレスにも大きな影響を与えます。それゆえ、自身のEQと向き合い、感情制御の得手不得手を伸ばしていくことで、ストレスを軽減させていくことが大切です。

EQを構成するのは、「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」「感情の調整」の4つの要素です。
EQを構成する4つの要素
かつて、心理学者であるポール・エクマンは、感情の基本形を「幸せ」「悲しみ」「怒り」「恐れ」「嫌悪」「驚き」の6つに分類しました。日常生活の中で、とりわけ組織の中で円滑な人間関係を維持し、ストレスなく活動していくためには、この分類を基に定期的に自身の感情を確認し、どのような要因で自分の感情が変化するのかを把握しておくことが大切です。
EQの高い行動の例
自身や他者の「感情の状態」を認識し、制御することができれば、対人コミュニケーションは円滑になります。

プログラムの中では、講義だけでなくロールプレイもおこないます。さまざまなシチュエーションを想定し、どのような場面でどのような行動をとることが良いのかという点について、参加者どうしで話し合います。こうした取り組みの中で、復職後に過度なストレスにさらされないよう、セルフケアスキルを身に付けていきます。

EQは、学習や訓練で伸ばせる能力です。自分が苦手とするEQの要素を把握し、相手の感情を理解することで、対人関係をこれまで以上に実りのあるものにすることができます。

まとめ

まとめ
就労移行支援施設や事業所は、作業を淡々とこなすだけの場ではなく、これまでの自分の弱さや不器用さがある場合に、それを明確にし、克服・改善する場所と捉えることができる場です。休職中に、いかにして充実した時間を過ごすかこそが、新しい生活をより豊かにするためのポイントとなります。
休職中に自身と向き合い、自分を変えることで、復職後は仕事を楽しみ、休日を充実したものにできるかもしれません。そうなれば、日々の生活の中で、食事や睡眠、運動、趣味・娯楽などがいっそう楽しくなり、毎日が心豊かに送れるようになります。

リワーク(復職)支援に特化したニューロリワークでは、プログラムの見学を承っています。見学ではプログラムの詳細や、利用時の過ごし方などをお伝えしています。適切なプログラムを受けることで自身を変化させ、心晴れやかに復職いただけることを心より願っております。

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【参考文献・参考サイト】
・就労継続支援どっとこむ「就労継続支援A型とB型とは」
・厚生労働省「障害者の就労支援について」
・厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」
(写真素材:PIXTA・photoAC)

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