年々増加する、教員の精神疾患による休職
その原因と、復職のために必要なこと
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年々増加する、教員の精神疾患による休職
その原因と、復職のために必要なこと

# お役立ち

公開日:2020.12.01 最終更新日:2021.01.12

 近年、教員の休職が多く報道されるようになっています。2006年に3,687人だった教員の休職者は2012年に5,400人となり、その後は毎年5,000人前後で推移しています。また、病気休職者に占める精神疾患の割合は、2006年には50.7%でしたが2018年には65.5%と、その比率も高まっています。

 調査によると、小学校・中学校の教員は高等学校の教員よりも1.5倍ほど精神疾患による休職が多く、役職のない教諭は主幹教諭等の約2倍、副校長等の約3倍、校長の約9倍の休職率となっています。
(参考:「平成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査について 1-1-3 病気休職者の学校種別・年代別・性別・職種別状況(教育職員)(平成30年度)」「平成23年度 公立学校教職員の人事行政状況調査について 3.教育職員の病気休職者等について」)

 こうしたデータからも、いかに教員(とりわけ小中学校の若手職員)に精神疾患による休職が多いかがわかります。そこで以下では、教員が心身の不調を患う原因やその解決法についてみていきます。

目次

教員を取り巻く過酷な環境

小学校教室
 文部科学省の調査によれば、過労死ラインを超える「週20時間以上の残業」をしている教員は小学校教諭で33.5%、中学校教諭で57.6%に上っています。この調査には自宅での業務は含まれていないため、これを含めると残業時間はさらに多くなることが予想されます。日本の教員の働き方に関しては、「授業時間は世界一短いが労働時間は世界一長い」ともいわれています。この原因は、教壇に立つ以外の業務が多いためです。

 学校ではあらゆる活動に関して書類の作成と提出が必要といわれており、通常の授業以外の業務負担が多いというのが実情です。また、上記の調査結果に現れている数値は「休職した人数」であり、休職に至っていない「休職予備軍」は含まれていません。そう考えると、潜在的な休職者の数はさらに多くなるといえます。

 一般的に、教員はその職務がら精神疾患になりやすいといわれています。たとえば、短期的に成果が見えにくく、顧客である生徒や保護者からは「業務をして当然」として捉えられることがしばしばあります。また、過剰な要求やクレームなどを受けることも少なくありません。さらに、教員を目指す人は几帳面や完璧主義、責任感が強いといった傾向もあるといわれることから、職場環境の過酷さもあいまって精神疾患を患いやすいと考えられます。

 教員にのしかかる様々な負担としては、主に「多忙さ、雑務の多さ」「学級運営の困難さ」「保護者対応の難しさ」「人間関係の煩わしさ」などが挙げられます。
教員にのしかかる様々な負担

1.多忙さ、雑務の多さ

 教員の役職によっては、作成が必要な書類がこの20年間で2倍以上に増えたともいわれています。一昔前では自宅に持ち帰ることができた業務も、近年では個人情報や機密情報の保護の観点から校内で作業をせざるを得なくなっています。調査によると日本の公立小学校の教員の初任給は時給700円以下になるとの指摘もあり、いかに長時間労働となっているかがわかります。

2.学級運営の困難さ

 ここ十数年で「学級崩壊」という言葉が特に注目を集めているように、近年では発達の偏りがある子どもやかんしゃくを起こしやすい子どもが増加し、学級運営が難しくなっているとの報告もあります。従来と同じ指導方法では解決にいたらず、こうした要因が教員の負担を増加させています。

3.保護者対応の難しさ

 教員の業務には、保護者の対応も含まれます。「毎朝、子どもを家まで起こしに来てほしい」といった要求や「朝ごはんは学校で食べさせてほしい」との要望が寄せられることもあり、本来の教員の業務範囲を超えた対応に追われることも少なくありません。また、子どもを叱ることで親からのクレームもあり、これまでになかった新たな問題も増えているといわれています。こうしたプレッシャーやストレスにより、教員は心身ともに大きな負担を感じるようになっていきます。

4.人間関係の煩わしさ

 教員の負担となっているのは、書類作成や子どもの対応、または保護者の対応だけではありません。管理職(上司)との人間関係の煩わしさもまた、教員にとっての大きな負担になっていると考えられています。特に近年では教員に対する世間の目線が厳しいものになっていることもあり、管理職である上司が部下である教員を厳しく指導・考課することがが不可欠となりました。そうなると、部下がミスをしないように、またはミスをした部下を注意・管理する必要性も高くなり、それが結果的に教員の負担を大きくすることになります。

 こうした「多忙さ、雑務の多さ」「学級運営の困難さ」「保護者対応の難しさ」「人間関係の煩わしさ」といった要因もあって、教員の精神疾患率は一般企業の従業員の2~3倍に上るともいわれています。

休職を防ぐ、もしくは休職から復職するには?

教員の休職を防ぐ、もしくは休職から復職するには?
 業務過多や人間関係のストレスによって心身に不調をきたした場合、休職せざるをえなくなるケースもあります。休職期間中は医療機関で治療を受けるだけでなく、復職を目指してリハビリテーションに取り組むことも重要です。たとえば、復職を支援するためのリワーク施設の活用などがそのひとつとして挙げられます。リワーク施設では休職の原因の明確化や再発防止策の確認などを通じて、復職や復職後の安定就労を目指します。

 リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、休職中の方が復職を目指す上で求められる能力や考え方を学ぶプログラムを提供しています。たとえば、「セルフケアプログラム」では働く上で必要となる健康管理について学びます。

 「セルフケア(英: self care)」は自分自身をケアすることを意味する言葉で、「対人関係およびコミュニケーションを通して学習された、ひとりひとりが管理・意図し、自発的に行う自己節制的な行為(機能)」と定義されます。
 つい忘れられがちなセルフケアですが、セルフケアを怠ると疲れが残り、ストレスが増え、悪循環に陥ってしまいます。そうならないために、セルフケアを通じて安定した状態をつくり、本来を能力を発揮することが求められます。

 ニューロリワークではプログラムを通じて生活習慣の重要性を見直し、オンタイムとオフタイムのセルフケアを身につけます。「何かに集中する時間」と「回復する時間」を明確にした上で自分に効果のある回復プランを考え、実行していきます。こうした取り組みを通じて自分の能力を発揮できる状態に戻し、復職を目指します。

まとめ

教員 面談
 年々、負担が大きくなっているといわれている教員の業務。日々の業務の中でストレスによって心身に不調をきたしてしまうケースも多く報告されています。そうした中で、職場環境を変えることも確かに重要ですが、併せて自身によるセルフケアのスキルを身につけておくことも同様に重要です。

 リワーク施設の「ニューロリワーク」では、セルフケアのプログラム以外にも認知行動療法に基づくプログラムやコミュニケーションスキルを養うプログラム、さらには運動・エクササイズプログラムなども提供しています。施設やプログラムの見学も承っていますので、休職中の方や復職を目指される方は是非ご検討ください。
 さまざまなプログラムを通じて復職の準備が進み、無事に復職されることを心より願っております。

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事業所ごとのプログラムは各センターの紹介ページにて掲載させていただいております。
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■ニューロリワーク三軒茶屋センター
三軒茶屋センタープログラム表

■ニューロリワーク梅田センター
梅田センタープログラム表
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【参考文献・参考サイト】
「平成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査について 1-1-3 病気休職者の学校種別・年代別・性別・職種別状況(教育職員)(平成30年度)」
「平成23年度 公立学校教職員の人事行政状況調査について 3.教育職員の病気休職者等について」
ベネッセ教育総合研究所「第6回学習指導基本調査 DATA BOOK(小学校・中学校版) [2016年]」
東洋経済ONLINE「毎年5000人が心を病む「教員」の過酷すぎる実態」
東洋経済ONLINE「日本の教員があまりに疲弊せざるをえない事情」
東洋経済ONLINE「まじめな教師を休職に追い込む4つの深刻問題」
(写真素材:PIXTA・photoAC)

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