「やること」ではなく「やらないこと」で復職を成功に近づける|
休職中から意識したい3つのこと
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「やること」ではなく「やらないこと」で復職を成功に近づける|
休職中から意識したい3つのこと

# お役立ち

公開日:2021.08.05 最終更新日:2021.08.06

 うつ病やメンタル不調の症状が安定して復職に向けて準備をしていると、やるべきことが多いと感じるようになることがあるかもしれません。

 ここでは、「やること」ではなく、復職を成功に近づけるための3つの「やらないこと」をご紹介します。これらを意識することで心身の状態を安定させ、復職後の不調の再発や再休職を防ぐことが期待できます。

目次

1.悪習慣なストレスケア

悪習慣なストレスケア
 復職を成功させるための「やらないこと」の1つ目は、「悪習慣なストレスケア」です。

 ストレスを溜めることは心身の健康に良い影響を与えないため、休職中に自分に合ったストレスケアを見つけることは大切です。しかしストレスケアの方法によっては、むしろ心身の健康をむしばむ場合があります。

 たとえば、避けたい行動としては以下のものが挙げられます。

・ゲームやテレビに熱中しすぎての夜更かし
・長時間の昼寝
・就寝直前のスマートフォン使用
・甘いもの過剰摂取
 など

 このような行動でストレスケアをする習慣がついてしまうと、メンタルヘルスが悪化するリスクが高くなります。

 夜更かしや長時間の昼寝は、就寝時間がズレて生活リズムが乱れる原因となります。生活リズムが乱れると体調に良くない影響があるだけでなく、かえって疲労やストレスが溜まってしまうことがあります。

 ゲームなどの趣味でストレスケアをする方もいますが、熱中しすぎて食事をとる時間が大きくずれたり、睡眠時間が足りなくなったりすることがないように気を付けることが大切です。

 また、趣味にのめりこみすぎて適切な範囲を超えた時間や金銭を費やしたり、他人と競い合ったりすると、新たなストレスの原因になりかねません。同じように、好きなものや欲しかったものを買う楽しみも、不必要なものまで衝動買いしたり無理のある出費をしたりすれば後で罪悪感におそわれ、かえって強いストレスを感じることになります。

 楽しいと感じられることや熱中できるものがあるのは良いことですが、心身の健康に悪影響のない範囲で楽しむという意識を忘れないことが大切です。

 他にも、テレビやゲーム、スマートフォンなどの液晶画面の光やLED照明などに含まれるブルーライトは、体内時計に影響することもわかっています。ブルーライトは光源からの距離が近いほど影響が大きくなるため、特に画面と目の距離が近いスマートフォンの就寝前の使用には注意が必要です。スマートフォンで音楽を流しながらリラックスするといった画面を注視しない利用方法であれば問題ありませんが、横になってスマートフォンを操作しながら眠りにつく習慣がついている場合は別のリラックス法を検討しましょう。どうしても使う必要がある場合は、できるだけ画面から離れたり、ブルーライトカットの眼鏡やスマートフォンの機能を利用したり、ブルーライトの影響を減らすように心がけるとよいでしょう。

 甘いものを食べることが幸せで、それがストレスケアになっていると感じている方もいるかもしれません。

 糖分を摂取すると、脳内で精神を安定させリラックスさせるセロトニンが分泌されて幸せな気分になれるということがわかっています。また、美味しいものを味わって食べること自体は良いリラックス法です。

 ただし、ストレスの発散のために甘いものをたくさん食べることが習慣になってしまうと、精神面に良くない影響が現れることがあります。

 なお、甘いものだけでなく、うどんやパンなどの炭水化物も糖質に含まれます。炭水化物は主食であり、手軽に食べられるものに含まれていることも多いため、糖質全体として考えると過剰摂取になりやすいといえます。糖質は脳が活動するために必要不可欠なエネルギー源であり、減らせばよいというものではありません。しかし糖質の摂取量が多いほど、うつ病のリスクが高くなるという複数の研究結果や、糖質の摂取量が多いグループは少ないグループに比べて5年後の精神疾患の発症率が23%高くなったという報告もあります。

 食事は睡眠と同様に生活の基本です。健康のために甘いものの摂りすぎはやめるように意識して、楽しくバランスの良い食生活でストレスケアを行うことが大切です。

 習慣となっているストレスケアの方法が心身に悪影響を与えている場合は、それをやめてマインドフルネスや呼吸法などの違うストレスケアを試して、より自分に合った方法を身につけることが重要です。やめて間もないうちは余計にストレスを感じるかもしれませんが、長期的には心身の状態を安定させることにつながります。

2.頑張りすぎること

頑張りすぎる
 復職を成功させるための「やらないこと」の2つ目は、「頑張りすぎること」です。
 メンタル不調が原因で休職している方の中には、遅れた分を取り戻そうと頑張りすぎてしまう方が少なくありません。ですが、ほとんどの場合、頑張りすぎる必要はありません。
 復職後、休職前と同じような働き方をするためには相当の時間がかかるものです。心身が回復しきっていないのに頑張るのは、足を骨折した人がギプスが外れた直後にいきなり走ろうとするのと同じように、状態を悪化させる危険性があります。怪我をしたときは再び活動できるまでリハビリを行うように、メンタル不調の場合でも一定期間のリハビリが必要です。

 頑張りすぎることをやめて、まずはしっかり休息を取ることを優先させることが大切です。その方がかえって早く休職前と同じような働き方ができる可能性もあります。特に、早く復職をするために睡眠時間を削って復職準備をしたり、復職後も休みなく働いている方は注意が必要です。

 復職後も毎日の出勤の足が重くなるようなことや、退勤時に疲れ果てるような働き方はやめるように意識することが重要です。仕事の成果を上げることよりも、笑顔で出勤して心身に余裕を持った状態で退勤できるように心がけ、頑張りすぎることは控えましょう。

 頑張るよりも休息を取りつつ7割の力で働くことによって、疲労やストレスの蓄積を防ぎ症状の再発や再休職のリスクを下げることができます。

3.断定思考

断定思考
 復職を成功させる「やらないこと」の3つ目は、「断定思考」です。

 白黒ハッキリさせたい方や完璧主義の方は「~すべきだ」「~に決まっている」といった決めつける思考が強い傾向がみられることもあります。具体的には、「休職期間が長い私は必要とされていない」「復職前と同様の成果を出せないとダメだ」「配慮してもらって当たり前だ」といった、自分の中の心理的ハードルや基準に当てはめる考え方のことです。

 断定思考が強い場合、そのハードルや基準を超えられずに強い挫折感を味わったり、うまくいかないときに怒りや敗北感を覚えたりして立ち直れなくなってしまうこともあります。

 断定思考してしまうときは「違う可能性もある」「こんな考え方もできる」と考えや視野を広げていくことで、自分の長所や持っているスキルに気付いたり、別の解決策を見いだしたりできるようになります。

 自分一人で断定思考を止めるのは難しいと感じる場合は、認知行動療法を学ぶことも良い方法です。柔軟な考え方を身につけることで、心身ともに安定した状態での就労を継続しやすくなります。

4.まとめ

前を向いて歩む
 「悪習慣なストレスケア」「頑張りすぎること」「断定思考」の3つをやめることで、復職の可能性が高まることが期待できます。いずれも簡単にやめることはできないかもしれませんが、少しずつ改善していくことが大切です。

 なかなかやめられない場合は、メンタル不調からの復職を支援するリワーク施設を活用することもひとつの方法です。頑張りすぎることや断定思考をやめることに有効な認知行動療法に基づいたプログラムを提供しているリワーク施設もあります。

 リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、認知行動療法に基づく独自のFITプログラムや、脳と身体の健康に良い生活習慣を身につけるブレインフィットネスプログラムなどを提供しています。各プログラムの見学も承っていますので、ご興味のある方はぜひお問い合せください。

【参考文献・参考サイト】
・体内時計に影響する「ブルーライト」 | 健康・医療トピックス | オムロン ヘルスケア
・ブルーライト対策、していますか? 特集|からだ健康サイエンス|アリナミン製薬株式会社
・甘いものがうつ病の原因になる!?【脳科学者監修】|メンタル不調からの職場復帰・社会参加、再発予防を支援【ニューロチャンネル】 – YouTube
・お酒がもたらす身体的なメリット|人とお酒のイイ関係|アサヒビール
(写真素材:PIXTA・photoAC)

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