1.「呼吸しているだけで偉い」
この言葉は、リワークの利用者が友人との会話の中でいただいた言葉です。この言葉を聞いたときは「気持ちが楽になり、自分のことをもっと褒めてあげようと思った」と感じたそうです。
公私を問わず、思うような成果が上がらないときや上手くいかなかったときは過剰に自分を責めてしまうことがあるかもしれません。特に「こうしなければ」「あれをやらないと」という“決めつけ思考”が強い場合、決めた基準やルールから外れたときに激しく自分を責めてしまいがちです。こうした場合には失敗の原因を見つけることも重要ですが、自分を責める考えに捕らわれてしまうと、かえって根本的な原因を見つける妨げになることもあります。
そのようなときは、この言葉のように「呼吸しているだけで偉い」「生きているだけで素晴らしい」「こんなことができて凄い」と些細なことでもよいので自分を褒めてみると、少しずつ気分が晴れて前向きな考え方が浮かんでくるようになります。特に職場復帰後や再就職して間もない頃などは上手くいかないことや思うようにならないことが多いかもしれませんが、この言葉のように自分を褒めることで乗り越える力が湧いてきます。
2.「この期間があるから、今の自分がある」
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この言葉は、復職が決まった方が通所していたリワーク施設を卒業する際のあいさつで話されたものです。「この期間」とは休職期間を指します。
この方は、リワークを利用し始めたときには早期の復職を希望していました。そのため、体調面などを考慮して休職期間を延長することになったときは、とても落ち込んでしまったとのことです。しかし、その延長期間に体調管理の必要性や方法を学んで、他の利用者の方々とも励まし合いながら懸命に準備をされていました。その結果、体調が回復して良い状態になってから復帰することができ、「この時期があったから元気に働けるようになったので本当に良かった」と話されていました。
休職していると「早く復帰しなくては」と焦ることがあるかもしれません。しかし、休職期間は復職後も安定して働くための準備期間です。この期間を心身の状態を整えて必要な知識やスキルを身につけるために必要な時間と考えて、焦らず着実に復職準備を進めることが大切です。
3.「最初の業務は、毎日笑顔で出勤すること」
不安を軽くする言葉の三つ目は「最初に行ってもらう業務は、毎日笑顔で出勤し、笑顔で退勤すること。半年から1年間はこれを意識して実行してほしい」という言葉です。復職前面談で、人事担当の方が「頑張りすぎないでほしい」という意味を込めて話されていました。同じような意図で、精神科の医師は「復帰後は7割の力で働く」と表現していました。
社会復帰直後は、「頑張らないと」「遅れを取り戻さないと」と頑張りすぎてしまうことがあります。しかし、頑張り続けることは心身への負担が大きく、かえって不調を招く危険性もあります。心身共に健康で働き続けるためには、余力を持って働くことが大切です。復帰後は無理をせず、毎日笑顔で出勤できるような働き方を意識しましょう。
4.「メンタル不調のある方を助けられる働き方がしたい」
四つ目は、復職が決まった利用者が話されていた言葉です。この方はリワークを利用して幅広い年代や病状の方と接することで、とても視野が広がったそうです。さらに、これから周りの方に同じような症状が現れたときには相談に乗ったり力になったりできるように、まずは自分が無理なく安定した就労を継続する必要があると実感されたということです。
自分の働き方が今後、メンタル不調がある方の働き方の土台になるかもしれないと考えることで、無理することなく、ときに甘えたり協力を依頼したりしやすくなることが期待できます。
5.「能力を評価しているからキャリア形成は諦めないでほしい」
最後は、人事担当者からの言葉です。社会復帰後まもなくは頑張りすぎないことが大切ですが、頑張りすぎないことと将来のキャリア形成を諦めることは異なります。この人事担当者の方は休職した方の体調をよく理解されていたので、復職後しばらくはある程度セーブをかけた状態で働くことに賛成いただいてました。同時に、「だからといってキャリア形成をあきらめないでほしい。能力を評価しているので、今後の会社の中でどういったキャリアを積んでいけるのかはしっかり考え続けてほしい」と話されていました。
休職・復職(離職)をしたときだからこそ、社会復帰後どのようにキャリアを形成したいか改めて考えていくことが大切といえます。
まとめ
これまでにご紹介したそれぞれの言葉には、復帰後も安定して働くためのメッセージが込められています。それらのメッセージを前向きに受け止め、社会復帰のために一歩ずつ前に進んでいくことが大切です。
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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